秦右翼の大将に大抜擢された信。
前回は、秦右翼の編制が行われる中、鄴の城内に別人が紛れ込むという異変があったところで終わりました。
さて、信と共に、秦右翼全体の軍師となった河了貂。
そして、鄴の城内にもぐり込んだ別人とは何者だったのか!?
今回は、別人の真相と河了貂の想いを中心にお届けしていきます。
『キングダム』589話!のネタバレ
それでは『キングダム』589話!の要点をまとめてみます。
時間のない場合、目次に内容をまとめていますので参考にしてみてください。
王翦からの刺客
十四日目前の鄴での出来事です。
王翦軍によって追われた難民が、やっと巨大都市である鄴に辿り着きました。
門の前では長蛇の列ができています。
門番たちが指示を出します。
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「首長は帳面を出せ!帳面のない者は入場できぬ」
やっとの思いで辿り着いた難民たち。
疲れ果てた姿で、言われた通り帳面を見せ、ぞくぞくと門を通過していきます。
顔まで包帯グルグル巻きの沢太を、肩に抱えた男性が言いました。
「頑張ったな沢太、鄴だぞ」
ほかにも誰だか分からないぐらい、全身を包帯で巻かれたケガ人達が何人も運ばれています。
「関哲さん分かる?着いたよ、鄴だ」
嬉しそうに話し掛ける男性。
しかし、関哲はケガがひどいのか何も答えません。
ただ門を通過する時に、何も言わず口元だけニヤッと笑ったのでした。
そんな事があってから、現在。
城内がみんな寝静まる頃、甲冑姿の男性が十数人、路地裏をウロウロしていました。
「早く行け、沢太」
「誰が沢太だ、バカ」
冗談を言い合いつつも、コソコソと話しています。
「ここまで日数がかかってしまった」
「仕方がない〝蔵″を探すだけでも大変だったのだ」
「全ての蔵を同時にやらねば意味がないからな」
仲間が探し出した道を突き進み、蔵の前にある高い塀から中を覗きました。
「ああ、あの中だ」
「他の所にも、それぞれもう集まっているはずだ」
蔵の中にはたくさんの兵がいます。
この中に入れば、生きては戻れないでしょう。
けれど、そんな事はどうでもよく、この作戦を成功させる事しか考えていませんでした。
男達は覚悟を決め、抱き合って成功を祈りました。
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「よし、決行だ!」
「王翦様に勝利を!」
「王翦様」と言ったという事は、この男達は明らかに王翦の部下ですね。
以前から余裕を感じていましたが、負け戦に興味のない王翦は、すでに次の作戦を始めていたようです。
そして、命を投げうるほどの部下の忠誠心。
さすがですね!
城内で起きた火事
男達が作戦を決行してまもなく、城内は騒がしくなりました。
「ご城主!起きて下さい」
部屋の扉の前で、召使いが必死に呼び掛けています。
「たっ、大変です
急いで来てください
城内で火の手が上がっています!!」
それも、東の大食糧庫が燃えているというのです。
「賊は全員仕留めましたが
蔵はもう消化できぬ程の状態であると」
その報告に飛び起き、驚きが隠せない城主。
さらに、火事はこれだけではありませんでした。
「ご城主、知らせが!」
数人の男達が必死の形相で報告してきました。
それはなんと、東だけでなく、西、南、北の四つ全ての大蔵が燃えているというのです!
他の小さな蔵にあった食糧は空になっていて、鄴に残された食糧は大蔵にしかありません。
四つ全てが同時に燃えたため、消化も間に合いませんでした。
これにより、鄴は一夜にして、その食糧の大半を失ってしまったのです。
この報告に、さすがの城主も焦ります。
「今すぐ鄴内全ての蔵の残量を調べよ!」
このことを城内の難民や兵達にばれないように、静かにやるよう指示を出しました。
側にいた召使いは、日の出と共に邯鄲の大王と、朱海平原の李牧に鳥を飛ばして報告すると言います。
ただ、城主からすれば報告よりも計算が先でした。
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「鄴の食糧が一体、あと何日持つのか・・・
正確な日数を出すのだ!!」
鄴の城外では、桓騎軍もその異変に気付いていました。
「見ろ、煙だ」
「中で火事か?」
他の者も不思議そうに眺めています。
その中の一人が、桓騎に報告しようと走っていました。
ところが、桓騎はすでに起きており、煙が上がる城内を眺めていたのです。
そして舌打ちをすると、ニヤリと笑って言いました。
「遅ェんだよ、ノロマ共が」
これは大変な事になりましたね。
鄴は現在、籠城している状態なので、食糧がなくなるのは死活問題です。
さらに気になるのは、明らかに桓騎だけ知っていた事です。
そうなると、この作戦は、事前に王翦と桓騎の中で話し合われていたという事でしょうか?
どちらにせよ、鄴を秦軍に奪われるような事があったら、趙軍はピンチです。
ただ、この鄴での出来事が朱海平原に伝わるには1日かかります。
そこへ伝わった時、大きく状況が変わるはずですよ!
河了貂の覚悟
朱海平原、十四日目の早朝。
飛信隊は、連日の激闘でボロボロになっていても、互いに励まし合いながら戦場へ集まっていました。
この日が、秦右翼にとって〝最激戦″の日となります。
それを開戦前から誰よりも分かっていたのは、軍師の河了貂でした。
河了貂は仲間を見つめながら、心の中で葛藤していました。
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「多分、今日大勢死ぬ・・・
死なせてしまう・・・!!
でも、それでも・・・」
そこへ「馬の子みてェにプルプルすんな、バカ」と言って、信が河了貂の頭をガシッと掴んできました。
河了貂の気持ちは、信も十分理解していました。
だからこそ、緊張をほぐすため声を掛けてきたのです。
「始まる前から、肩に力入れすぎだぞ、お前」
「だって・・・」と、河了貂が言い返そうとすると、羌瘣が近づいてきました。
そして、なぜか黙って河了貂の胸を揉む羌瘣。
その行動にビックリして、さすがの河了貂も「なっ、何すんの羌瘣!」と慌てて離れます。
「え、喜ぶかと思って」と、冷静に答える羌瘣。
「え、喜ぶの?」と便乗しようとした信に、パンチをおみまいする河了貂。
二人の行動に怒って、河了貂は言いました。
「もー何なのさ
マジメにやれよ、二人とも」
信も羌瘣も「フザけてないし」と否定します。
そして、元気を取り戻した河了貂を見て、安心した信は言いました。
「そのくらいでいけよ、テン
いつも通りの感じでいけ
あんまり色々考えすぎると
躊躇して判断を間違うぞ」
その言葉に、ハッとする河了貂。
さらに、信は話を続けます。
「分かってるだろうが、手加減は全くいらねェからな
俺達は、全員で命をかけて勝利をつかみ取る飛信隊だ」
河了貂は瞼を閉じ、信の話を聞きながら仲間の顔を思い浮かべていまいた。
そして、覚悟を決めたように目を開き、信に伝えました。
「ありがとう、信
俺も今日が一番勇気が必要だった
もらったよ
勝とう、信」
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「ああ、絶対勝つ!!」
と信も言って、三人で拳を合わせたのです。
こんな厳しい状況でも、互いを思いやれる。
良い関係ですよね。
秦右翼の編制は、敵である趙左翼も気付いていました。
慌てる部下の報告にも全く動揺する事なく、全て知っていたかのように趙峩龍は答えます。
「飛信隊が、秦右翼の中心に・・・
恐らく、飛信隊 信が右翼の大将になったのだ」
その言葉に驚く部下達。
そして趙峩龍もまた、心の中で覚悟を決めていたのです。
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「正に万策尽きし、最後の一手だ
だが半日で終わらせてやるぞ、飛信隊
それで、この戦いは幕だ」
趙峩龍自身は、今日で決着をつけるつもりみたいですね。
鄴の出来事もあり、兵糧戦の優劣は大きく変わり始めています。
趙軍にとっても、戦いが長引くことは厳しい状況に追い込まれる事になるでしょう。
『キングダム』ネタバレ589-590話のまとめ
今回は、鄴に潜り込んだ別人は王翦の部下であり、そして見事、鄴にとって大事な食料庫を燃やす事に成功しました。
これは、趙軍にとっては大きなダメージです。
城主が、難民や兵達にバレたくない気持ちは分かります。
もし知れたら、城内はパニックになって大きな騒ぎになるでしょうからね。
さらに煙が合図となって、桓騎軍も援軍を待たずして動き出し始めるかもしれません。
運命の十四日目が始まり、決着まであと1日。
大将となった信はどんな戦いを見せるのか!?
次回が待ち遠しいです!

⇒『キングダム』588話!鄴の城内で起きた異変!信がついに・・