龐煖(ほうけん)に立ちはだかる信。
前回は、龐煖の攻撃によって体が傷だらけになろうとも、信が再び立ち上がったところで終わりました。
さて、敵が迫っている状況でありながら、二人の戦いを見届けている李牧。
龐煖が人の代表ならば、信を含めた「彼らもまた人の代表」と断言します。
李牧が龐煖を導く者ならば、信がその答えを持つ者。
はたして、龐煖が探す答えとは!?
なぜ、信は何度も龐煖に立ち向かえるのか!?
今回は、王翦が挟撃から脱出したその後と、龐煖が変化し始めた様子を中心にお届けしていきます。
『キングダム』625話!のネタバレ
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原泰久『キングダム』625話より引用
それでは『キングダム』625話!の要点をまとめてみます。
時間のない場合、目次に内容をまとめていますので参考にしてみてください。
逃げない李牧
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原泰久『キングダム』625話より引用
李牧救出のため、紀彗軍から駆けつけた馬呈(ばてい)。
倉央(そうおう)のパートナー、糸凌(しりょう)がお相手しています。
女性とは思えない糸凌の圧倒的な力。
二刀流での連続攻撃を、馬呈は全て受け止めいきます。
睨み合う両者。
部下は驚きました。
糸凌であれば、どんな相手でも簡単に抜けるはず。
ところが、今回は手を焼いているではありませんか。
それは趙軍も同じ。
馬呈と互角に戦える相手など見た事がありません。
糸凌と馬呈が戦っている頃、倉央が敵をなぎ倒して前進。
今のうちに突破できれば、李牧はもう目の前です。
趙軍は焦りました。
秦軍に抜かれるのは時間の問題。
早く李牧を脱出させなければいけません。
ところが、李牧は未だに丘の上。
倉央は疑問に思っていました。
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「なぜ抜けぬのだ、李牧
右翼 飛信隊が何かしているのか?」
原泰久『キングダム』625話より引用
疑問に思っていたのは、田里弥(でんりみ)も同じ。
黙って李牧がいる丘の上を見つめていました。
部下の呼びかけに振り返り、合流した王翦の元へ急ぎます。
田里弥が無事を確認するなり、王翦は言いました。
「後ろから馬南慈(ばなんじ)軍が
追ってきているぞ」
後方で、馬南慈と傅抵(ふてい)に挟撃された王翦本陣。
蒙恬(もうてん)率いる楽華隊が駆けつけてくれたおかげで、どうにか脱出。
前方にいた田里弥軍に合流できました。
でも、敵を倒したわけではありません。
追手が来ているのは、田里弥も分かっています。
後ろから敵が迫っているのは、大きな問題ではないのでしょう。
王翦は戦場をみて言いました。
「李牧はまだ本陣にいるのか」
田里弥も不思議に思っていました。
李牧のすぐそこまで秦軍が迫っています。
なのに、未だに逃げようとはしません。
田里弥は状況を伝えます。
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「横撃している右翼 飛信隊に
何か気を取られているようです」
原泰久『キングダム』625話より引用
近くにいた蒙恬は「えっ?」と驚いていました。
王賁は黙って戦場を見つめています。
王翦は何かに気付いたのでしょう。
遠くにいる李牧の様子を眺めながら、「ほう」と返事をしたのです。
龐煖の矛盾
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原泰久『キングダム』625話より引用
李牧本陣の周りは敵だらけ。
秦軍の視界には李牧が入っています。
ギリギリの瀬戸際で、部下は敵の潜入を必死にくい止めていました。
しかし、いつ突破されてもおかしくありません。
部下は叫びました。
「りっ、李牧様
早く退避を
もう限界です、お早く」
ところが、李牧が部下の方を振り向くことはありません。
それどころか、カイネまで一緒に戦場を見つめたまま。
部下も苛立って再び呼びかけます。
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「カイネ、貴様何をしておる
早く李牧様をお逃がしせぬか
カイネ、カイネッ」
原泰久『キングダム』625話より引用
カイネもまた振り向くことなく、黙ったまま。
見つめていた先には、戦う龐煖と信の姿がありました。
深手を負っているとは思えないほど、信の力強い攻撃。
もちろん、龐煖も負けてはいません。
常人では追いつけないスピードで攻撃してきます。
互いに矛が直撃。
唖然とする田永と田有。
信の思いが痛いほど伝わって来たのでしょう。
尾平の目からは涙が流れました。
李牧の周りにいた部下は愕然とします。
「ば、バカな・・・
どうなっているのだ、あの男は」
信が龐煖と対等に戦っているのです。
信じられないのも当然でしょう。
李牧は言いました。
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「あれが龐煖の対極にある力・・・
龐煖が理解できない力です」
原泰久『キングダム』625話より引用
衝撃を受ける部下達。
カイネも理解できていないようです。
そこで、李牧は力の違いについて説明し始めました。
龐煖は求道者(ぐどうしゃ)として、人の域を超えるため武神を目指しました。
修行のすえ、道の極みに達したと判断。
その力を天に示すため、山を降りたのです。
しかし、十七年前にある人物に出会ってしまいました。
秦国の英雄、王騎将軍です。
思い出したのは、王騎と龐煖が対面した時でした。
血だらけで倒れている摎(きょう)の姿。
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原泰久『キングダム』625話より引用
愛する者を奪われ、怒りをあらわにする王騎。
龐煖は、王騎の矛によって顔に大きな切り傷ができたのです。
武を極めたと思っていたのに、龐煖にとって初めての敗戦。
自分が未熟だから負けたのだと考えました。
しかし、八年前の馬陽(ばよう)での再戦。
結局、龐煖は一人の力では王騎に勝つことができなかったのです。
王騎は龐煖の一撃によって命を落としました。
でも、李牧は二人の一戦を見て思ったのです。
龐煖は未熟だったのではなく、十七年前に武の極みに達していたのではないかと。
当時すでに武神であったにも関わらず、王騎に負けたのだと考えました。
これが本当なら、おかしな話です。
龐煖は、武神になるほど強さを極めた人物。
王騎に負けたのなら、つじつまが合いません。
部下は尋ねました。
「む・・・矛盾した話に
聞こえますが・・・」
ところが、李牧は当然のように答えたのです。
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「ええ、矛盾しています
しかし
その矛盾こそが“答え”です」
原泰久『キングダム』625話より引用
李牧はすでに、龐煖が探す答えを知っていました。
それも李牧だけでなく、麃公(ひょうこう)も気付いていたのです。
龐煖と対峙した時に、不敵な笑みを浮かべて麃公は言っていました。
「己の中の大いなる矛盾に気づかず
一人もだえている
ただのど阿呆じゃ」
諦めない信
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原泰久『キングダム』625話より引用
最初は圧倒的な強さを見せていた龐煖。
ところが、傷だらけの信が少しずつ前へ進んでいきます。
むしろ威力が増し、龐煖を圧倒し始めました。
田永は涙を流しながら応援したのです。
「いけェっ、信」
しかし、さすが龐煖。
やられっぱなしではありません。
目で追えないほどのスピードで矛を振り回し、信を攻撃します。
防御する間など与えません。
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原泰久『キングダム』625話より引用
信の体中から血が飛び散ります。
攻撃に耐えられず、信は苦しそうに跪いてしまいました。
さすがに限界かもしれません。
渕は涙を流し呼びかけます。
「しっ、信殿ォ」
ところが!
なんと、信が力を振り絞って攻撃!
倒れ込みながら、矛を前へ突き出したのです。
信はそのまま転倒。
龐煖も攻撃が当たったのか、少しよろめきます。
驚愕する周囲。
一番驚いているのは龐煖かもしれません。
信は倒れたまま。
もうダメかと思いましたが、歯を食いしばって立ち上がろうとします。
限界はすでに超えているはず。
それでも信は諦めません。
体を引きずって、意地でも龐煖に立ちはだかります。
カイネは驚きを隠せませんでした。
これが対極の力なのでしょうか?
李牧は表情を変えることなく言ったのです。
「個で武の結晶となった龐煖とは真逆
関わる人たちの思いを紡いで
束にして戦う力です」
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原泰久『キングダム』625話より引用
龐煖は驚きます。
目の前に立っていたのは、信だけではありません。
傷だらけの信の腕を支える尾到(びとう)と漂。
後ろには腕を組む成蟜(せいきょう)に、微笑む王騎や麃公。
穏やかな表情の蒙驁(もうごう)爺さんまで立っています。
秦国の者だけではありません。
敵の輪虎(りんこ)と万極 (まんごく)までいました。
信が歩んできた道には、たくさんの思いが受け継がれています。
だからこそ、ここで負けるわけにはいきません。
武神龐煖にはない力を、信はすでに手に入れていたのです。
『キングダム』ネタバレ625-626話のまとめ
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原泰久『キングダム』625話より引用
今回は、紡いできた思いを糧に、何度も立ち上がる信が印象的な回でした。
龐煖に理解できない力。
それは、思いを紡いで束にして戦う力でした。
信はずっと一人で戦っていたわけではありません。
たくさんの支えがあって、ここまで辿り着けたのです。
それを理解しているから、信は何度だって立ち上がれます。
強さを極めるために“情”を否定した龐煖には、辿り着けない境地ですよね。
信が中心となって自然と同志が集まり、大きなうねりとなって時代を変えていく。
これは一人では出来ないことです。
龐煖は武神となるため、全てを捨てて己の道を突き進みました。
ここで負けてしまったら、龐煖には一体何が残るのでしょうか。
因縁の戦いもいよいよ終盤。
信は龐煖を仕留めることができるのか!?
次回が待ちきれません!

⇒『キングダム』627話!龐煖が最期に気づいた残酷な真実・・