信が息を引き取り、悲しみに包まれる飛信隊。
前回は、絶望的な状況を打開すべく、羌瘣が現れたところで終わりました。
さて、気になるのは羌瘣の動きです。
いくら蚩尤族の末裔とはいえ、人を生き返らすなんて無理なはず。
ところが、羌瘣にはなにか考えがあるようです。
はたして、信が復活する奇跡は起こるのか!?
今回は、信に対する羌瘣の思いを中心にお届けしていきます。
『キングダム』630話!のネタバレ
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原泰久『キングダム』630話より引用
それでは『キングダム』630話!の要点をまとめてみます。
時間のない場合、目次に内容をまとめていますので参考にしてみてください。
異変に気づいた蒙恬と王賁
王賁と共に王翦のそばにいた番陽。
遊軍がいない今、李牧の首を狙えるチャンスです。
ところが、飛信隊は一向に李牧を追う動きをみせません。
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原泰久『キングダム』630話より引用
番陽は我慢できず、飛信隊の方へと馬を走らせます。
すると、隣にいた蒙恬が何かに気づきました。
「待て、番陽副長
様子が・・・」
王賁も異変を察したようです。
周囲を見渡せば、兵士はみんな涙を流して嘆くばかり。
「隊長」とつぶやいては、悲しみに打ちひしがれていたのです。
驚く番陽。
王賁と蒙恬も目を見開きます。
前方に視線を送ると、中央には大きな人だかり。
番陽、蒙恬、王賁の3人は、急いで人が集まっている場所へ向かったのです。
人だかりの中央では、息を引き取った信が横たわっていました。
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原泰久『キングダム』630話より引用
どうやら、羌瘣が信を「助ける」と宣言したようです。
でも、信はもう死んでいます。
今さら助けることなどできるのでしょうか。
死を受け止めきれず、涙を流す尾平。
思いが溢れ泣き叫びました。
「もうとっくに死んじまってるんだぞ
信は・・・
死んじまったんだ
信はァあああああああ」
苛立って羌瘣は叫びます。
「だまれ!気が散る」
信の胸に右手を置いた羌瘣。
隣にいる河了貂も、羌瘣が何をしようとしているのか理解できません。
禁術の掟
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原泰久『キングダム』630話より引用
羌瘣が実践しようとしているのは、蚩尤族の禁術。
禁術のなかには、命を分け与える術がありました。
それで信が生き返るとでも言うのでしょうか?
河了貂はまだ信じられません。
禁術と言うだけあって、羌瘣も試した経験はありませんでした。
ただ、信を救う方法はこれしかないのです。
羌瘣は記憶をたどりながら、試みようと考えていました。
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原泰久『キングダム』630話より引用
「スー」と息を深く吸った羌瘣。
まず、互いの気の道を開いて繋ぐ必要があります。
あとの手順は、呪語の詩に従うだけ。
羌瘣は集中した状態で、教わった詩を思い出そうとしていました。
これはまだ、羌瘣が小さい頃のお話です。
羌瘣はひとり、森の中で禁術の詩を唱えていました。
目の前には鳥の亡骸。
可哀想だと思ったのでしょう。
教わったばかりの禁術を使って、鳥を生き返らせようと考えたみたいです。
順番を確認しながら唱える羌瘣。
「色無くす時、その目は
二つの赤門を見る
えー見る
見て・・・えー」
明らかにウロ覚え。
現在は強い羌瘣ですが、可愛らしい時期もあったようですね。
ウロ覚えの羌瘣を見かねた象姉。
代わりに続きの詩を唱えてあげます。
驚いて後ろを振り向く羌瘣。
象姉は呆れて注意しました。
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「・・・あんた何
やばい禁術やろーとしてんの」
原泰久『キングダム』630話より引用
羌瘣はキョトンとした表情。
やばい禁術だと知らなかったようです。
でも、絶対にやらないようにバァに言われたはず。
象姉はさらに呆れていました。
象姉が止めた理由
象姉の話では禁術は「うそっぱち」で、試すとおかしなことになるようです。
だから、昔から伝えられてはいますが、絶対にやってはいけない術でした。
「うそっぱち?」と聞き返す羌瘣。
象姉は眉間にシワを寄せて言ったのです。
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「そう
死んだやつを生き返らせる術なんて
この世には存在しないってさ」
原泰久『キングダム』630話より引用
記憶をたどっていた羌瘣。
象姉の言葉を思い出して、目を見開きました。
「死んだものは
生き返らない」
羌瘣の目から流れる一筋の涙。
いくら蚩尤族でも、人を生き返らせる術など存在しなかったのです。
羌瘣の様子を見て、なにかを察した飛信隊。
本当は、助ける方法などないと分かっていたのでしょう。
羌瘣を止めようとします。
ところが、羌瘣は泣きながら怒鳴りました。
「うるさい!!」
驚く河了貂。
羌瘣はまだ諦めていなかったのです。
「そんなはずはない
あの術はたしかに・・・」
諦め切れないのには理由がありました。
禁術を象姉に止められた羌瘣。
でも「うそっぱち」なのに、なぜ昔から伝えられているのでしょうか?
疑問をぶつけますが、象姉は知らないふり。
最後に忠告したのです。
「とにかく、それは忘れな
使った奴に“最悪のこと”が起こるんだ」
当時は羌瘣も子供だったため、象姉の言っている意味がわかりませんでした。
でも、今となっては理解できます。
象姉はいつか羌瘣が使わってしまわないように、嘘をついていたのです。
羌瘣の決断
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原泰久『キングダム』630話より引用
禁術を使ってしまえば、“最悪のこと”が起こるでしょう。
しかし、羌瘣はそれ以上に信を失いたくありませんでした。
羌瘣は信に寄り添い、呪語を唱え始めます。
「人の命は連華の光
人の命は唯唯光・・・」
静まり返る周囲。
羌瘣の体中の血管が浮き上がっていきます。
最後に目を見開いた羌瘣。
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原泰久『キングダム』630話より引用
どうやら繋がったようです。
「行ってくる
変化があったら
みんなで信を呼んで」
そうつぶやくと、羌瘣は意識を失ってしまいました。
慌てる飛信隊。
再び羌瘣が目を開けると、周りには何もありませんでした。
周囲を見渡しても無の世界が続きます。
遠くを見てみると、誰かが立っているではありませんか。
姿からして信ではないようです。
近づくと、立っていたのは倒したはずの幽連(ゆうれん)でした。
幽連といえば、同じ蚩尤族で象姉の命を奪った張本人です。
でも、当時の気配とは違う様子。
幽霊の方から説明し始めました。
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「ここが天地の間の門戸だ
ここより先に行くにはお前の命
寿命をいくつかもらう
そして、それはお前が決めろ」
原泰久『キングダム』630話より引用
驚く羌瘣。
すると、今度は後ろから象姉が話しかけてきました。
「そういう術なんだ、瘣
お前の寿命を減らすことでしか
あの男は救えない」
象姉が羌瘣の禁術を止めた理由。
それは、己の命を使わないと発動できない術のためでした。
さらに、幽霊の説明によると、かなり分が悪い術のようです。
死んですぐの発動なら、術者の半分の寿命を頂きます。
でも、成功するのは2回に1回程度の割合。
失敗した場合は、死者が生き返らないまま、術者は半分の寿命を失います。
信の場合は、命を落としてから時間がかなり経過していました。
すでに間の世界の奥深くまで進んでいたのです。
だから、呼び戻すにしても成功率は十分の一。
羌瘣が寿命を半分失っても、信が生き返る保証はありませんでした。
当然、象姉は止めます。
「だからやめときな、瘣
このままお前だけ戻れ」
幽霊も不敵な笑みを浮かべて忠告します。
「よーく考えな、羌瘣
答えるのは一度だけだ」
信が助かる保証もないのに、自分の命を削って差し出すわけです。
本来であれば、とても悩む選択でしょう。
ところが、羌瘣は穏やかに微笑んで言いました。
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「そんなの即決だ
全部やる
どうしても死なせたくない、信を
私の命、全部やるから
あいつを助けに行かせてくれ」
原泰久『キングダム』630話より引用
困り果てる象姉。
幽霊は呆れながら術を発動。
羌瘣の姿が消えていったのです。
再び目を覚ました羌瘣。
今度は暗闇の世界。
起き上がろうとすると、前には信が立っていました。
『キングダム』ネタバレ630-631話のまとめ
今回は、どんな手を使っても信を救いたい羌瘣の思いが溢れた回でした。
念のため、おさらいしておきましょう。
禁術を発動させるためには、術者は寿命の半分を差し出す必要があります。
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原泰久『キングダム』630話より引用
しかし、信の場合は深くまで進んでおり、成功する確率は10分の1程度。
失敗したとしても、羌瘣が命を落とすことはありませんが、長くは生きられません。
信を死なせたくない気持ちは、はたして愛情なのか。
それとも、友情なのかは分かりません。
でも、一切迷いのない羌瘣の決断は、決して無駄にはならないはずです。
呼び戻せるかどうかは、信の意志も大きいでしょう。
天地の間で再会した羌瘣と信。
はたして、羌瘣は信を連れ戻すことができるのか!?
次回がとても楽しみです!

⇒『キングダム』628話!命を削って龐煖を倒した信の末路・・