今回は「キングダム」の中に登場する数少ない女性キャラクターの中から「向(こう)」という宮女についてご紹介したいと思います。
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【キングダム】嬴政の正妻 向(こう)
「キングダム」において大将軍を目指す「信」とともに、のちに秦の始皇帝となる「嬴政(えいせい)」の正妻として「向(こう)」という宮女がいます。
この「向」の出自は「ド田舎の貧しい商人の娘」とのことです。
ただ、どのような商家だったのか、家庭・家族環境についての詳細は不明です。
【キングダム】向は地味な宮女だった?
向は嬴政の伽の相手として寝所に呼ばれる場面で初めて「キングダム」に登場します。
「伽(とぎ)」とは、宮女にとって最も重要な役割とされています。
向が初めて伽に呼ばれたのは、12歳の時でした。
嬴政の伽に呼ばれた時の向の見た目は、特別な特徴があるわけではない印象です。
特徴を上げるなら、少し切れ長の目と言えるでしょうか。
誰もが目を奪われる「美少女」と言うようなタイプではないようです。
出自も先に述べたように高貴な家の出身ではありません。
そういう意味では千人以上とも言われるたくさんの女性がいる後宮において色々な意味で「地味」な存在だったのかもしれません。
【キングダム】向の性格は?
向は見た目の地味な設定に合わせてなのか、登場した当初、性格もそれほど目立って前に出ていくというタイプでは無いようでした。
ちなみに向は嬴政のことをいつも「大王様」と呼んでいます。
向は「大王様」に伽に呼ばれても「どうして自分が呼ばれるのか」と不思議に思っていたほどです。
なぜなら三回呼ばれても「大王様」に手すら触れられていなかったからです。
向は四度目の伽の時、ふとした出来事から大王様に「恋」をしてしまいます。
そしてその次に伽に呼ばれた時、向は初めて自分の名を名乗り挨拶をして寝所に入ります。
それに加えて向は「“お心の伽”をさせていただく」と大王様に宣言します。
他の宮女との違いがここにはっきり描かれているのではないでしょうか。
向の心の中にある大王様に対する「強い想い」が垣間見える気がしますね。
同時に嬴政の傍に寄り添い、見守ることのできる可愛らしい女性です。
口数も嬴政の前では多いわけではありませんが、その時々に精いっぱい嬴政に寄り添い、背中を押す言葉をかける所が「いじらしく」も思えます。
【キングダム】友人である陽との関係は?
陽(よう)は向の親友で、1歳年上の宮女です。
陽は向の生い立ちとは違い、高貴な武家の出身です。
向の良い相談相手で「お姉さん」のような存在です。
向が何度も「大王様」の「伽」に呼ばれているのに、手がつけられていないことを知った時、陽は向に対して「伽は宮女にとって戦いなんだから」・「女の戦争だ」と言い切ります。
この場面からはきちんと教育を受けたしっかり者の印象を受けますね。
以下に改めて詳しい内容を書きますが、向が呂不韋と太后の姦通を知った時、向が命を落としそうになる重要なお話があります。
その時、陽は命の危険にさらされた向のために勝手に伽の順番を入れ替わり、嬴政の前に現れ助けを求めに行くようなとんでもない「行動力」を見せます。
また向が嬴政の子供を身籠っていた時には、秦が合従軍に攻め込まれているタイミングだったこともあり、「向と子供を守る」と言ってとても頼りがいのある姿を見せています。
向と陽は欲望渦巻く後宮の中で、信頼できるとても良好な友人関係にあると言えます。
【キングダム】政が向を部屋に呼んでいた理由は?
先にも書きましたが、向が不思議に思うほど、なぜか大王様は向を伽に呼びます。
大王様は向とともに眠ることはあってもなかなか実際にそのような関係にはなりません。
向が「“お心の伽”をさせていただく」と宣言した夜、政は向を呼んでいた理由を明かします。
それは単に「時間を読書にあてたいため」だったそうです。
政は激務の中で書物を読む時間がなかったので、伽に呼ばれても政の隣で「全身硬直で固まっている向が都合がよかった」のだそうです。
でも政が向を呼んだ理由はそれだけではなく「向が隣にいるときはなぜか心地よく書が読める」と感じていたことにあったようです。
周りに敵の多い政にとって心を穏やかに共に過ごせるのが「向」の存在だったようですね。
【キングダム】呂不韋の裏切りを目撃してしまう
向はたまたま木簡を片付けることを忘れていた時、真っ暗な後宮に忍び込みます。
その時、後ろから聞こえた音に振り向き「太后様」の姿を目撃します。
そしてその「太后様」が一人ではなく「呂不韋」の手を引いて入ってくることに気づきます。
向は呂不韋が「太后様の後宮勢力がこの呂不韋の傘下に入るということは、実の子であられる大王様と明白に敵対することになりますぞ」と太后様に話しているのを耳にします。
その言葉を聞いて、向は「どうして太后様が血を分けた親子なのに大王様を助けないのか」と言うことに「それでもあなたは母親ですか!?」と怒りの感情を覚えます。
この気持ちは後に向が太后様に放った言葉にも影響していく伏線と言えるかもしれません。
その上、太后様が「かつて十七年前の恋人二人が異国の地、秦を乗っ取る」と言う言葉まで聞いてしまいます。
こっそり太后様と呂不韋の様子を覗いていた向でしたが、その視界に別の人物が現れます。
太后様にいつも従っている、宦官の趙高に向は刺されてしまいます。
向は刺されて血を流しながら、なんとか大王様に伝えようとふらふらと足を進めますが、最後は陽の部屋の前で倒れこんでしまいます。
翌朝、向が刺されて倒れている姿を見つけた陽はすぐに手当てを頼みます。
同時に機転を利かせた陽の行動で、政は自らの医師団を連れて向を助けに向かうことになります。
ようやく一命を取りとめることができそうになっても向は眠ろうとしません。
それはどうしても大王様に今回目撃したことを伝えなければと思っていたからです。
政に話すことを促され、向は泣きながら「太后様と丞相が裏でつながっている」ことと「二人が姦通したかもしれない」と言うことを大王様に話します。
その言葉を聞いて政は向をねぎらい、「お許しください」と謝る向に「俺はお前のおかげで命拾いしたやもしれぬ」と言って頭をなでます。
そしてやっと向は眠りにつきます。
政はこのことを聞く直前に母である太后様に自分の勢力の味方となって欲しいと直接頼みに行って承諾を得ていました。
しかし実際のところ、太后様が丞相側についていたと言う事実をつきつけられたのです。
その政にとって大変重要な話を命がけで伝えたのが向でした。
向の大王様に対する「何か役にたちたい」と言う強い気持ちを感じ取れるエピソードと言えます。
またこの一件で、政と向の心の結びつきが強くなったとも言えそうです。
【キングダム】向が元気な女の子を出産
秦が合従軍に攻め込まれる直前、向はお腹に赤ちゃんを身籠っています。
友人であり姉のような陽はとても喜んでくれます。
それは昌文君ら政の周りにいる側近たちにとってもこの上ない喜びになります。
合従軍との戦が最終局面を迎え、李朴が咸陽の地に攻め入ろうとするとき、嬴政は秦軍総司令である昌平君と話をします。
そして嬴政は自ら「蕞(さい)」の地に向かうことを決めます。
その直後、後宮で待っていた向の元に大王様が会いにやってきます。
向はやっと大王様と会えたので「お腹の子が大きくなってきた」などと話してなんとか大王様が戦に出て行くのを引き止めようとします。
しかし最後には大王様に「どうか、ご武運を」と力強い声をかけて戦いに送り出します。
大王様を見送ったあと、向はその場で泣き崩れます。
向が一人の女性として、愛する大王様と共にいたいと願いながらも、秦国滅亡の危機に立ち向かう大王様の背中をも押せるほど強くなったと言えそうですね。
羌瘣が復讐を終えて飛信隊に戻り、その後蒙驁将軍が亡くなるという悲しい出来事が起こります。
そんな時に向が女の子(麗)を出産します。
政はもちろん、ずっと政を支えている昌文君や、向の友達である陽も無事に子供が生まれたことを一緒に喜んでいます。
新たな命を迎えるということは、向にとって、大王様にとって、秦国にとって本当に嬉しい出来事であったに違いなかったでしょう。
【キングダム】太后にぶつけた母親としての想いとは?
太后の色欲を埋めたのは、呂不韋が探してきた嫪毐(ろうあい)と言う男でした。
反乱の首謀者として嫪毐が裁かれるとなった時、太后は自分の息子である政に嫪毐との間に生まれた2人の子供を助けてほしいと土下座をして頼みます。
しかし政は「二度と反乱が起きないよう」と言って子供を救うことはできないと伝えます。
すると太后は剣を手に涙を流し暴れ回り、自分の息子である政に「産むんじゃなかった」と言う言葉をぶつけます。
その言葉を聞いた時、向は「太后様」と叫び涙を流して「大王様だってあなた様の偽りなき大切な御子ではありませんか!!」と訴えます。
そして政の気持ちを代弁するかのように「大王様にとって太后様がたった一人の母親だったんですよ」と向は話すのです。
向が大王様を本当に愛していて、大王様の気持ちを理解しているからこそ太后様に対して言えた言葉だったのでしょう。
また向自身も大王様との間に大切な子供を授かったがゆえに、一人の母としてより一層重みのある言葉を発することができたと考えられます。
【キングダム】向と麗は史実にはない?
「史記」において秦の始皇帝の公子は20人以上いたと書かれているようです。
その中で名前が知られているのは「扶蘇(長子)」と「胡亥(末子)」です。
その他にも数人、血縁上の位置づけの分からない男子がいるようです。
しかし「史記」の中で、始皇帝に正妻がいたとの記述はないそうです。
実際にはいたであろう性別としては「女子」と考えられる名前も残ってはいません。
先にも述べたように後宮には千人もの宮女がいました。
そのため、「向」の名前が残らなかったのは仕方のないことなのかもしれません。
それでも「名前の記載がない」と言うだけで実在はしていたのかもしれません。
どちらが正解とも言い難いことではありますが、希望としては「向と麗」が実在して欲しいとも思います。
ただ、現存する書物の内容のみを史実とするのならば「正妻としての向」と「娘としての麗」は史実にはいないと言うことになるのかもしれません。
まとめ
ここまで、色々なエピソードとともに一見地味な宮女として登場した「向」についてご紹介してきました。
共に時間を過ごすうちに大王様にとって「向」が少しずつ大切な女性となっていったことが読み取れるのではないかと思います。
またいつも大王様を想って涙を流しながら、それでも力強く一生懸命励ます姿は心を打つ場面が多いですね。
「中華統一」と言う偉業に邁進していくことになる嬴政にとって、この先も「向」が心のよりどころであり、ほっとできる存在として隣に居て欲しいと思います。

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